「え?あのバッグ、流行りすぎて逆に欲しくなくなった」
「このお店、インスタでバズってから行く気が失せたなあ…」
そんなふうに思ったこと、ありませんか?
実はこれ、「スノッブ効果」と呼ばれる心理現象です。
今回はこの不思議な心理について、身近な例とともに深掘りしていきます。
■ スノッブ効果とは?
スノッブ効果(Snob Effect)とは、「他人が持っているものを、自分は持ちたくなくなる」心理のことです。
簡単に言えば、「人と同じはイヤ」「希少なものに価値を感じる」気持ちがこれにあたります。
この言葉は経済学者ハーヴェイ・ライベンシュタインが提唱したもので、元々は「需要と希少性」の関係を説明するための概念でした。
似たような効果に「バンドワゴン効果」(=みんなが持ってるから自分も欲しい)があり、スノッブ効果はその“逆”です。
■ 「みんなが持ってる=価値が下がる」?
スノッブ効果が働くと、私たちは「みんなが持っている」という理由だけで、そのモノへの価値を低く感じてしまいます。
たとえば…
- 高級ブランドのバッグが、突然あちこちのインフルエンサーに使われ始める
→ 「なんか、量産型っぽくなってきたな…」と感じる - 隠れ家的なカフェがSNSで話題になり、長蛇の列に
→ 「雰囲気も落ち着きもなくなった…もういいかな」と足が遠のく
つまり、「希少性」や「自分だけの特別感」が薄れることで、魅力を感じなくなるわけです。
■ なぜスノッブ効果が起こるのか?その心理の裏側
スノッブ効果の根底には、「他者との差別化を図りたい」という自己表現の欲求があります。
これは心理学者マズローの「承認欲求」や「自己実現欲求」にも通じる部分です。
人は誰しも、「自分らしさ」や「特別感」を持ちたい生き物。
そのため、「他人と同じもの」や「大量生産されているもの」は、自己表現のツールとしての魅力を失うのです。
■ スノッブ効果とマーケティングの関係

この心理は、マーケティングの世界でも重要な武器になります。
企業は以下のような戦略を使って、スノッブ効果を活用しています。
● 限定販売
「○○本限定」「今だけ」など、希少性を強調して「他人と被りたくない人」の心理を刺激。
● 招待制・会員制
一部の人にしか参加できないことで、「自分は選ばれた存在」という特別感を与える。
● 高価格戦略
あえて高い価格を設定することで、「大衆向けではない」というイメージを作り、差別化を図る。
このように、スノッブ効果は商品やサービスの“プレミア感”を演出するうえで非常に有効なのです。
■ SNS時代はスノッブ効果が加速する?
現代はSNSであらゆる流行が「可視化」されやすい時代です。
つまり、「どれだけ他人と被っているか」も簡単にわかってしまう。
そのため、スノッブ効果は昔よりも早く、かつ強く現れます。
たとえば、あるカフェや商品がバズると、それだけで「もう行きたくない」「ありふれてきた」と感じる人が増える。
「先取りした感覚を持ちたい人」「マイナー路線が好きな人」にとって、SNSは“冷める装置”にもなりうるわけです。
■ でも「スノッブ効果」は悪いことじゃない
一見、「ひねくれてる」と思われがちなスノッブ効果ですが、悪い心理ではありません。
- 自分らしさを大事にする
- 流されない選択をする
- マイナーなものを応援できる
そんな「芯のある生き方」にもつながっていくのです。
ただし、スノッブ効果に振り回されすぎると、「誰かが使ってるからやめる」「流行ってるから嫌だ」と、選択の幅が狭くなることも。
本当に自分が好きかどうか。
それを見極めることが、一番大切なのかもしれませんね。
■ まとめ:みんながやってると冷めるのは「自然な心理」
- スノッブ効果=「他人が持ってると欲しくなくなる」心理
- 差別化・希少性・自己表現の欲求が関係している
- マーケティングにも使われる戦略
- SNS時代では加速する傾向にある
- 悪い心理ではないが、自分の価値基準を持つことが大切
「みんなが持ってるからこそ、自分は持たない」。
それもまた、立派な自己表現の一つ。
あなたの選択が、あなたらしさを作っているのかもしれません。
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